【トレードの基本5】損失への心構えとリスク管理:損切りの意義と手法

前回は、株式のエントリー方法としてトレンドフォロー戦略について説明しました。株価が順調に上昇していけば問題ありませんが、逆に株価が下落し、損失が発生することもあります。このような状況に直面すると、心理的につらいものになります。
以下は、そのような状況になった際の心理的な反応です:
・損失が発生したことにショックを受ける
・自己批判や後悔の感情に陥る
・損失を回避したり埋め合わせるために焦る

しかし、事前の準備があれば、失望やパニックに陥る必要はありません。トレードをする前に、利益だけでなく損失の可能性も考慮し、その際の対処方法をあらかじめ決めておけばいいのです。これをリスク管理と呼びます。
以前の記事で、個々のトレードの勝敗はランダムであり、すべての取引で利益を上げることは不可能であると説明しました。したがって損失は避けられませんが、正しい対処をすればトータルで利益を出すことができます。損失は必要経費のようなものだと割り切りましょう。

損切り
株をエントリーした後に株価が下落した場合の最善の対処法は、事前に損失を確定する価格を決めておき、その価格まで株価が下がったら即座に処分することです。これを損切りと言います。損切りの価格は、トレードの根拠となっている上昇トレンドの前提が覆されるポイントに設定します。つまり、株価が前回の安値を下回る場所です。次の模式図の赤のラインです。

エントリー後の損切りの具体例
損切りは「逆指値の売り注文」を出します。

損切りの位置は、上昇トレンドの根拠が崩れる前回安値(3,685円)を下回るところです。例えば、前回安値より1円下回る3,684円で逆指値の売り注文を出します。
 現物売
 株数 100株
 価格 逆指値 3,684円以下になった時点で執行、成行

逆指値注文についてもっと知りたい方は次の記事をお読みください。
【トレードの用語】成行注文、指値注文、逆指値注文

IFD注文(イフダンちゅうもん)
IFD注文は、エントリーの注文を出すときに、損切り注文を一緒に出せる便利な注文方法です。エントリーの買い注文と、それに続く損切り注文を1つの注文として組み合わせます。エントリーの買い注文が成立すると、自動的に損切り注文が発行されますので、時間制約のある人や取引画面から離れる必要がある場合でも、注文タイミングを逃すことがありません。
 現物買
 注文種別 IFD
 株数 100株
 価格 逆指値 3,861円以上になった時点で執行、成行
 IFD取引 現物売
 価格 逆指値 3,684円以下になった時点で執行、成行

SBI証券の場合の取引画面

損切りポイントを下方にずらしてはいけない
エントリー時に設定した損切りポイントを下方にずらすことは、トレードの根拠を無視する行為であり、絶対に避けるべきです。
ポジションを下げることで、一時的に損失が確定しないという安心感を得るかもしれませんが、株価がさらに下落すると損失を広げる結果につながる可能性があります。
結局、最初に設定した損切りポイントで損切りを実行することが、損失を最小限に抑えることになると言えます。

以上が損切りの考え方と注文方法です。重要なポイントは、トレードをする前に損失の可能性と対処方法を検討することです。
具体的には上昇トレンドの前提が覆されるポイントに損切り注文を入れます。